お知らせ

除夜の鐘|大晦日に108回の鐘を鳴らす意味とは?

2019年12月23日

寺院において、大晦日から元旦にかけてつく鐘のことを「除夜の鐘」といいます。日本では年越しの風物詩となっている行事なので、家の近くにお寺がある人は、毎年鐘の音を聞きながら新年を迎えているのではないでしょうか?

除夜の鐘は、人間の煩悩の数になぞらえて108回鳴らすとされています。鐘のつき方は寺院によって異なっており、旧年から新年にかけて108回鳴らすところもあれば、107回を旧年のうちに鳴らし、最後の1回のみ新年に鳴らすといったところもあります。

今回のコラムでは、除夜の鐘の意味について解説をしていきます。

除夜の鐘の意味

まず「除夜」というのは「大晦日」のことです。「除」という言葉には「古いものを去って新しいものを迎える」といった意味があります。そのため大晦日は「除日(じょじつ)」とも呼ばれます。除日の夜なので「除夜」です。

除夜に108回の鐘がつかれる理由は、人間の中にある108つの煩悩を取り除くためだと言われています。

では、そもそも人間の中にある「煩悩」とは何なのでしょうか?

煩悩は私たち人間の「苦」の原因となるものです。欲望や怒り、妬み…そのような煩悩が仏教では108つあると考えられています。

大晦日に108回の鐘をつくのは、人間の心のうちに宿る煩悩を一つ一つ取り除き、まっさらな気持ちで新年を迎えられるようにするためなのです。

除夜の鐘の歴史

除夜の鐘は、もともと中国の宋時代に始まった文化でした。中国では「鬼を祓う」という目的で鐘が鳴らされていたそうです。

日本では、鎌倉時代に禅宗と共に鐘を鳴らす文化が伝わってきたとされています。

鎌倉時代は仏教が確立したばかりの時代であったため、寺の存在を民衆に知らしめ信仰を増やす布教活動の意味も兼ねて鐘を鳴らしていました。

禅寺では朝夕の二回鐘をついていたのですが、室町時代になる頃には除夜に鐘をつく風習ができあがっていました。その頃は禅宗のみでの風習だったのですが、江戸時代になる頃にはあらゆる宗派の寺院で除夜の鐘がつかれることが一般的になりました。

つまり、除夜の鐘を鳴らす文化は江戸時代頃に完成し、現代に至るまで脈々と受け継がれてきたのです。

現代では、多くの寺院で除夜の鐘の一般参加が可能です。お寺によって時間帯は異なりますが、大晦日の夜に寺院に行けば一般の人でも鐘をつくことができます。

新たな気持ちで新年を迎えるためにも、ぜひお近くのお寺に除夜の鐘をつきに行かれてみてはどうでしょうか。