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- 蝉の一生は儚いのか?
本格的な夏がやってきましたね。蝉の鳴き声が聞こえてくると、まさに「夏がきた」と感じさせられます。
蝉は地中で七年間生活し、夏になって地上に出てきて、わずか一週間で死ぬといわれています。そんな蝉の姿を見て「命が短く哀れな虫」だと仰る方がいます。しかし、蝉だけが哀れな生き物なのでしょうか?蝉さんのほうでは「そう言っている人間も神経をすり減らし、他人の評価に怯えながら生きて一生を終えていますよ」と鳴いているかもしれませんね。
私たちは「自分のことは何でも知っている」と思いがちです。しかし、自分の姿全体を肉眼で見たことがあるでしょうか?見ることができるのは、鏡に映った自分の姿だけです。
「蟪蛄春秋を識らず」曇鸞大師
蝉は春の桜、秋の紅葉、冬の雪景色を見たことがありません。その時期は、地中にいるからです。では、四季を知らない蝉が、どうして「いまが夏」だと知ることができるのでしょうか?
私たちは、楽しいことや心地よいことを自然と求めます。それが幸せだと思っています。その反対に、悲しみや苦しみに出会うとどうなるでしょうか?「こんなのは私の人生ではない」と、何とかして目を逸らそうとしませんか?しかし、考えてみてください。楽しいことや幸せを経験するだけで、それが自分だといえるでしょうか?苦しみの意味を知らずに、どうして「私は自分のことを知っている」といえるのでしょうか。
暑い夏を生きながら、蝉には夏であることが分からないように、私たちが今の自分に自信が持てなかったり、不安に感じたりするのは「生老病死」という人生の四季をしっかり見ていないからです。苦しみも私達を育ててくれる通過点なのです。
人生の与えられた四季を全て経験させていただきましょう。それが自分を知り、生きるということなのですね。
