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挙足一歩(こそくいっぽ)

2025年11月05日

 朝夕と涼しくなりましたね。秋の気配を感じると同時に、なんだか「もう秋か」ともの寂しくなります。落ち葉をイメージしてしまうのか、秋には心までも落ち込む方が多いようです。最近、お参りの際にお話しをさせて頂くなかで、「後悔」の思いを口にされる方が多いように思われます。

  「まもなく母の四十九日を迎え、急に後悔に襲われています。なぜ、もっと親孝行できなかったのか」「なぜ夫(妻)と結婚したのか?もっと時間をかけて付き合えばよかった」。逆に「なぜ離婚したのだろう。もっと夫(妻)に優しくしてあげたらよかった」「なぜ子どもを産まなかったのだろう。この年になって急に寂しくなった」「なぜ若い時、あんな仕事をしてしまったのだろう」。

 皆、どうしてあの時に、という後悔の念を引きずっています。では、なぜ過去を引きずってしまうのでしょうか。それは、今の自分に自信が持てないから。だから、過去の生き方を否定することしかできないのです。過去の出来事にしがみついていても、将来がよくなることはまずありません。

 「過去は変えられない。けれども過去の意味を変えることはできる」これは、私が師から学んだ言葉です。過去は大切な出来事です。「なぜあの時に」と言いますが、その時にこれが良いと思ってとった行動なのです。その時の状況で考えたことなのです。否定する必要はないのです。

 過去を後悔と恨みの中で終わらせるのか。それとも、歩いた足跡を未来に明るく繋いでいくのでは大きな違いが生まれます。今、どう生きるかで、私たちの未来は決まります。自分の今の立ち位置がはっきりしてこそ、人生のスタートラインが見えるのです。

「挙足一歩(こそくいっぽ)」

 過去は過去として受け入れ、そこから一歩を踏み出しませんか。もう一度ここからやり直しませんか。