お知らせ

布施

2023年07月29日

「あれだけしてあげたのに、これだけしか返ってこない」と思って損だと感じたり、相手を嫌いになったりしていませんか。

私たちは、ついついギブアンドテイクは等価であるべきという思いを持ちます。貨幣を中心とした経済は、等価交換が大原則ですので、支払った貨幣に対して、得られるモノやサービスが同等かそれ以上の価値でなければ納得できない心待ちになっています。大乗仏教では、実践すべき第一を「布施」といいます。「布施」を簡単に言いますと、分け与えるということです。

「私が〇〇に□□をしてやったのに」と、「してあげた私」にしがみつき、相手の返礼を気にかけ、また「自分はこれだけしたのに」と、「これだけしかしなかった」と卑下するのは、「布施」にはなりません。布施することを「喜捨(きしゃ)」といい文字通り、喜んで手放すということです。他者のために、自分のできることを尽くすことが喜びになるのです。できたことが有り難いのです。

布施の心は、結果や見返りにこだわらない心、しがみつかない心の訓練という意味で仏教の大事な実践行となっているのでしょう。布施には財施(ざいせ:金銭や衣服食べ物などを差し上げる)、法施(ほうせ:真実の教えを説く)、無畏施(むいせ:恐れを取り除く)の3つがあると言われますが、そういう力を持たない人でもできる布施として「無財(むざい)の七施」という教えがあります。

本来は、仏様や仏教のための布施ですが、私たちの生活の中でも大切なことです。①「眼施(げんせ)」:慈眼施(じげんせ)ともいい、優しい眼差しです。目は心の窓といいまますね。②「和顔施(わげんせ)」:和顔悦色施(わげんえつじきせ)ともいい、和やかで穏やかな表情や笑顔のプレゼントです。③「言辞施(ごんじせ)」:愛語施(あいごせ)ともいい思いやりや共感の言葉をかけることです。④「身施(しんせ)」:捨身施(しゃしんせ)ともいい、自分の身体で奉仕することです。ちょっと荷物を持ってあげるなど、いろいろできますね。⑤「心施(しんせ)」:心慮施(しんりょせ)ともいい、思い願い気遣い心を配ることです。⑥「床座施(しょうざせ)」:座を譲る、居場所を用意することです。⑦「房舎施(ぼうしゃせ)」:風や雨露をしのげる所を与えることですが、安心できる雰囲気を用意することも大事です。

どうでしょう、すぐにでもできそうなことがあるのではないでしょうか。