お知らせ

四聖諦

2023年08月26日


私たちは、何かに取り組んでいる中で、不具合が出てくると、そこをどのように直すか、改善するかを考えます。しかしそのような不具合は直せば直すほど出てくるもので、その都度、改善改良を重ねていくことになります。どういう理由でその不具合が生じたのか、原因や経緯を正しく知らなければ、同じことの繰り返しになっていきます。結局のところ、次々と改善していったつもりが、「こんなはずではなかった」と、最終的には変な方向へ行ってしまうことにもなりかねません。

お釈迦さまは、すべて起こっていることには原因があり経緯があるので、そこを正しく知ることが重要だと教えています。そのためにも、現状の問題点を明らかにしなければなりません。つまり、事実を正しくありのままに見ることです。そして問題を整理し、課題をはっきりさせることです。できていること、できていないこともはっきり知りましょう。原因や経緯にも、直接的なことや間接的なことがあります。それらの中で、特に根本的な原因は何であるのか。そこがはっきりするだけでも、ずいぶん見通しが出てきますね。

最終目的地を明確にすることが重要です。目の前の改善目標はもちろん大事ですが、それはどこへ向かっての改善なのか、どうなりたくて、やっているのか。目指す地点や状態を、言葉やイメージで明確にします。その上で、最終地点をにらみながら、今なすべきこと、次になすべきことが明らかになってくるでしょう。

お釈迦さまは、それを「四聖諦(ししょうたい)」と教えています。四聖諦とは、人生問題とその解決法についての4つの真理という意味です。(1)「苦諦(くたい)」:この世界は苦であるという真実。(2)「集諦(じったい)」:苦には原因があり、それは本当のことを知らず自分中心に求め進むことにあるという真実。(3)「滅諦(めったい)」:苦の原因の滅という真実。無常の世界を超え、執着を断つことが苦しみを滅したさとりの境地であるということ。つまり、目指すべきは苦にならない世界・すべてに意義が感じられる人生ということ。(4)「道諦(どうたい)」:さとりに導く実践という真実。理想の境地に至るための実現方法には、八正道という正しい修行実践法がある。

以上の4つが四聖諦です。

現実をありのままによく見て、課題を明らかにした上で、現在の立ち位置をよく知って、その原因と経緯がはっきりして、目指すべき目的地が明確になると、おのずからやるべき方法と順序が見えてくる、と教えてくれているのです。